ヨドコウ迎賓館 見学記
フランク・ライド・ライトの日本に残る建築物
概要
- 建物について
- 「ヨドコウ迎賓館」、別称「旧山邑家住宅(きゅうやまむらけじゅうたく)」は、兵庫県芦屋市に所在する、アメリカ人建築家フランク・ロイド・ライト (Frank Lloyd Wright) が設計した建物です。
灘五郷の造り酒屋・櫻正宗の八代目当主山邑太左衛門の別邸として建築されました。
本建築は国の重要文化財です。
- 設計
- フランク・ロイド・ライトの原設計は1918年です。
フランク・ロイド・ライトは1922年に母国アメリカに帰国したため、実際の建築はフランク・ロイド・ライトの弟子である遠藤新と南信が行いました。
- 建物概要
- 原設計:フランク・ロイド・ライト
工事 設計・監理:遠藤新建築創作所
工事 施工:女良工務店
竣工年: 1924年
構造: RC造
建築面積: 359.1平方メートル
延床面積: 542.4平方メートル
設計者
- フランク・ロイド・ライト
- フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)
フランク・ロイド・ライトは、アメリカ近代建築の巨匠です。
1867年にアメリカ・ウィスコンシン州で生まれました。
フランク・ロイド・ライトは、“周囲の自然環境と融和し、豊かな人間性を保証する建築”こそが理想であると考え、“有機的建築(organic architecture) ”を提唱しました。
ヨドコウ迎賓館は、フランク・ロイド・ライトが帝国ホテル建築のために来日していた1918年に設計されました。
日本において現在まで建築当初の姿を留めているのは、東京・池袋の自由学園明日館とヨドコウ迎賓館のみです。
- 遠藤 新
- 遠藤新はフランク・ロイド・ライトの弟子として、ヨドコウ迎賓館の実施設計を行った建築家です。
1889年に福島県福田村で生まれ、1917年にライトと共に渡米、タリアセンで約1年8カ月学びました。
フランク・ロイド・ライトが1922年に日本から母国アメリカに帰国後、建設中のヨドコウ迎賓館は遠藤 新と南 信の手によって1924年に完成しました。
- 南 信
- 南 信は1892年に仙台市で生まれました。帝国ホテルの建設に携わることでフランク・ロイド・ライトの元に働き始めます。
南 信は遠藤 新と共に「遠藤南建築創作所」を開設し、ヨドコウ迎賓館の完成を目指しました。
デザイン
- 外観
- ヨドコウ迎賓館は、小高い丘の上に建っています。外観はまるで丘と一体化したように自然と馴染んでいます。
さらに、屋上からは大阪湾が一望できます。
- エントランス
- 玄関口の間口は狭くなっており、独特な世界観を作っています。
- 内観
- ヨドコウ迎賓館は洋館ですが、三室続きの畳敷きの和室があります。欄間は、銅板のモチーフで装飾されています。
また、長椅子や棚など、フランク・ロイド・ライト設計の作り付け家具があり、インテリアは統一感があります。
さらに、照明はインテリアとしても優雅です。
- 装飾
- 外装も内装も一貫した幾何学的な造形モチーフで装飾されています。建物全体に銅板や大谷石、木材で装飾されています。
歴史
- 主な歴史
- 1918年(大正7年) 基本設計終了
1923年(大正12年) 着工
1924年(大正13年) 上棟
1924年(大正13年) 竣工
1935年(昭和10年) 実業家の所有となる
1947年(昭和22年) (株)淀川製鋼所の所有となり、社長邸として使用
1974年(昭和49年)5月 国の重要文化財の指定を受ける
1989年(平成元年)6月 淀川製鋼所迎賓館として一般公開される
1995年(平成7年)1月 阪神・淡路大震災により一部破損
1995年(平成7年)6月~1998年(平成10年)3月 調査・修理工事が行われる
1998年(平成10年)3月 完工
アクセス
- 所在地
- 〒659-0096 兵庫県芦屋市山手町3-10
- 開館日
- 水・土・日曜日と祝日
- 開館時間
- 10:00~16:00(入館は15:30まで)
- 車での行き方
- ・大阪方面からは阪神高速3号神戸線「芦屋」出口から西へ7分。
・神戸方面からは阪神高速3号神戸線「深江」出口から東へ10分。
乗用車7台、中型バス2台まで駐車可能な無料駐車場がある。
- 鉄道での行き方
- ・阪急神戸本線「芦屋川駅」より北へ徒歩10分
・JR神戸線「芦屋駅」より北西へ徒歩15分
・阪神本線「芦屋駅」より北へ徒歩20分